帯状疱疹ワクチンについて

シングリックス(帯状疱疹ワクチン)は、水痘(水ぼうそう)の抗体価が十分に高くても接種する必要があるかとお問い合わせが多くなっております。結論としては、「抗体があっても接種したほうが良い」です。その理由は、抗体価(液性免疫)と、帯状疱疹の発症を抑える免疫(細胞性免疫)の仕組みが異なるためです。

1. 「抗体がある」=「ウイルスが体内にいる」ということ
水痘帯状疱疹ウイルスの抗体(IgG)が陽性であることは、過去に感染したことがあり、現在もウイルスが体内の神経節に潜伏していることを意味します。つまり、抗体がある人こそが「将来的に帯状疱疹を発症するリスクがある人」です。

2. 抗体(液性免疫)だけでは発症を防げない
帯状疱疹の発症を抑えるために重要なのは、血液中の抗体(液性免疫)よりも、ウイルスを直接攻撃する細胞性免疫です。

抗体(液性免疫): 外から入ってくるウイルスを防ぐのには役立ちますが、体内に潜んでいるウイルスの再活性化(暴走)を抑え込む力は限定的です。

細胞性免疫: 加齢や疲労で低下しやすく、これが弱まると潜伏していたウイルスが活動を始めて帯状疱疹になります。

3. シングリックスの役割
シングリックスは、この「細胞性免疫」を強力に高めるように設計されています。

抗体価が高い状態であっても、シングリックスを接種することで細胞性免疫が再活性化(ブースト)され、発症率や重症化(帯状疱疹後神経痛:PHN)のリスクを劇的に下げることが臨床試験で証明されています。

50歳以上であれば、過去の抗体価に関わらず一律に接種が推奨されているのはこのためです。